投資の旅行記

投資(資産運用)は旅のようなもの。「旅としての投資」を通じて、日々感じたことや考えたことを記していく個人的な「旅行記」ブログ。

Amazon株を売却

18ヶ月でS&P500の5倍上昇したAmazon

先日、保有していたAmazon(ティッカーシンボル:AMZN)株を半分売却した。

2017年1月に少額購入してから9月までかけて押し目買いを続け、その後そのまま保有してきたもの。売却時のリターンは +91%(為替含めると+89%)だった。

仮に同じ期間(18ヶ月)、最初のタイミングで一括投資していた場合は +125%(為替含めると +119%)。時間分散で高値掴みのリスクを抑えながら徐々に投資した結果としては、まずまずのリターンだったように思う。

とはいえ、Amazonをはじめ米国株は(昨年よりもボラティリティは高まったとはいえ)現在も上昇を続けている。このタイミングでの売却は、後になって振り返ると「もう少し保有しておくべきだった」という結果になるのかもしれない。

Amazon株とS&P500の2017年1月~2018年8月までの値動きの比較。S&P500が+25%程度であるのに対し、Amazonは+125%という5倍以上の上昇率となっている。
Amazon(AMZN)とS&P500(SPY)の2017年1月~の比較チャート(2018年1月=100)

それでも売却に踏み切った理由を、自分自身のメモとしても以下に記録しておきたい。

Amazon株を売却した理由

Amazon株を半分売却した理由は、端的に言えば「そろそろ米国株式市場ももたなくなるのではないか」という判断である。

2008年のリーマンショックからの復調を果たした世界経済は景気拡大を続け、すでに10年目。戦後最長を試そうとしている。株式相場も、数度の調整局面を経ながらも上昇を続け、特に2017年は先進国から新興国まで大量の資金が流入し「世界同時株高」を演出した。

2018年初頭に大きな調整が入り、その後は米中貿易紛争懸念などからボラティリティは高まったものの、少なくとも米国株は未曽有の好景気としてまだまだ資金流入が続いている。先日のApple株の時価総額1兆ドル超え(8月2日)は、その象徴なのかもしれない。そして昨日はS&Pも最高値を更新した。

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日経平均も、昨秋の16連騰(2017年10月に16営業日連続で株価上昇が続いた現象)ほどの勢いはないにせよ、まだ弱気相場入りはしていない。2012年末から始まったアベノミクスは前半は「強引な円安誘導による相場支援」、後半は「日銀による日本株ETF巨額買入れ」などの策を敢行。こうしたアプローチに対しては賛否両論あるが、少なくとも海外投資家からマネーを引き寄せることには成功した。

しかし世界の市場に目を向けると、2018年になって新興国を中心にかなり広い範囲で資金が流出しているのがわかる。ニュースでは「政治要因」で語られることが多いが、背景にあるのは別の共通要因のように見える。それは、世界最大の経済大国・アメリカによる金融引き締め(緩やかな利上げ継続+量的引き締め)だろう。

世界のマネー動向のカギを握るアメリFRB

金利は株式と競争関係にある。先の金融危機の際、世界の中央銀行は極限まで金利を下げて資産下落に歯止めをかけようとした。緩和措置はその後も長らく続き、現在まで低金利政策が続いてきている。ただし低金利は、次の金融危機が発生した際の中央銀行の武器(利下げ)を奪ってしまう。よって、経済が復調した国から徐々に利上げに転じていくことになる。

アメリカは、先進国の中で先頭を切ってこの舵を切った。アメリカの中央銀行にあたる連邦準備制度理事会FRB)は、2015年12月から利上げに転じ、2018年8月現在で計7回の利上げを実施。現時点では年内にさらに2回の利上げが見込まれている。

欧州中央銀行(ECB)も、アメリカには遅れをとっているものの「量的緩和は2018年内で終了。2019年夏から利上げ」の見解を発表。日銀は依然「異次元緩和」で迷走中だが、実質的には水面下で態度を変え始めているという見方もある。株式投資に有利だった低金利時代は、すでに転換期に発っていると言える。

加えて、アメリカは2017年10月から量的引き締め(それまでFRBが市場から資産を買い入れ、その分市場にマネーを供給していたが、量的引き締めではこの逆、すなわちバランスシート縮小による間接的なマネー吸い上げを行う)を開始している。例えば米国債については、最初の1年は月60億ドル程度から徐々に増やし、1年後すなわち今年の秋頃からは月300億ドル規模での資金を市場から引き揚げると予想されている。

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資金が市場に溢れていた状態から、徐々に潮が引き始め、相対的にリスクの高い新興国を中心に干上がり始めている。一方で、まだ全面的に投資家が手を引く状況ではない。そうした中で唯一「まだいけるかもしれない」と思われているのが、アメリカ市場なのだろう。

世界のマネーはどこに向かうのか

米国株はいつまで上がるか―。著名な投資家やアナリスト等々の間でも見方は分かれているように見える。ただ、いつ急落が来てもおかしくない状況であれば、欲張らずに一部を利益確定しておこうというのが、このたびAmazon株を半分売却した意図だった。判断の成否は後になって分かるのだろうが、少なくとも自分なりの仮説をもった上での判断と行動であれば、貴重な学びの糧となる。

ちなみに現状では、おそらく米国株の下落の前に日経平均が落ちる可能性が高いと見ている。そのための準備もすでに開始している。投資は世界を観る1つの眼。政治、経済、社会、文化・・・等々とはまた違ったレイヤーの、「マネー」という観点で引き続き旅を続けたい。