投資の旅行記

投資(資産運用)は旅のようなもの。「旅としての投資」を通じて、日々感じたことや考えたことを記していく個人的な「旅行記」ブログ。

ついに崩れ始めたAmazon株

Amazon株の急落

長らく米国市場の上昇相場を牽引してきたAmazon(ティッカーシンボル:AMZN)が、ここに来て急落している。

9月前半の高値をピークに、10月から本格的な下げに転じて一時は30%超の下落。他のハイテク銘柄も同様に急落しているが、Amazonは過去の調整局面でも強さを見せていただけに、今回はこれまでとは異なる動きになってきている。

ちなみに8月25日に以下の記事を書いていたが、偶然にも当時の見方が現実になった形だ。実際にはこの記事の執筆後も数回に分けてAmazon株を売却しており、結果的にほぼ最高値圏で利益確定ができていたことになる。

talisker.hatenablog.com


なお今回のタイミング的中は単なるまぐれであり、それ自体は特に重要ではない。個人投資家にとって重要なのは、マーケットの潮流に関する「自分なりの仮説」を常に持ち、相場と向き合いながらそれを検証していく習慣だと思う。その観点で、現在のマーケットの動きは、8月当時にもっていた仮説と大きくずれておらず、当面は自分の見方に応じたポジションを粛々ととっていきたいと考えている。

これから相場はどう動くのか

個人的には、最後の砦であった米国株の足元が揺らぎ始めたことで、2017年とは逆のトレンド「世界同時株安」が徐々に進むとみている。一番の要因は、金利上昇でも米中貿易紛争でも政治不安でもなく、「FRBによる量的引き締めの継続」だ。

リーマンショック以降、世界の中央銀行は大規模な金融緩和を実施し、バランスシート拡大によって資金を市場へ注入し続けてきた。これが「世界同時株高」を支えた大きな要因にもなった。ところが好景気を背景に米FRBは他の先進国に先行して金融緩和を終了し、2017年10月よりバランスシート縮小(量的引き締め)を開始。金融危機後の株価上昇を支えたのと同じ規模の資金をマーケットから吸い上げている。つまり、市場における「マネーの水位」が下がってきている。

先月、ロイターが「株式と債券の同時下落」を報じていたが、これはある種の必然でもある。「水位」が下がった市場においては、資金は単にリスクリターンを見ながらアセットクラス間を移動するわけではない。確かに金利上昇は株式から債券への資金シフトを促すが、一方で利上げが継続される局面では債券にも価格下落(利回り上昇)の圧力がかかる。また政府債務の際限なき膨張も、米国債にはネガティブな影響となるだろう。

jp.reuters.com


ただ、これはあくまでも行動心理学的な見方からの推測というか想像の域を出ないのだが、米国株(およびそれに左右される日経平均)は、米中間選挙後に一時的に急騰する可能性はあるようにも感じている。明確な理由は言語化できないのだが、今の相場を見ていると、市場参加者は「下げる理由」「上げる理由」を一生懸命追いかけながら迷走しているように見える。これが昨今のボラティリティ上昇を助長しているのだが、こうした流れの中では、まだ萎み切っていない「熱狂」が捌け口を求めている。

仮想通貨市場が停滞してしまった今、そうした熱狂の捌け口は「もっとも上がりそうな市場」に求められる。現時点では、それは米国株以外にはないように思える。